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当機構の業務に対して「誹謗中傷」に類するブログ記事をネット上で公開している「ケイ父」様に対する提案

更新日:2019年11月27日

代表理事 松本徹三


現在「高IQ者認定」というキーワードでネット検索すると、「ケイ父」というペンネームの方の「ギフテッドにすり寄るIQテストビジネス 1/3」と題するブログ記事が嫌でも目に飛び込んできます。この方は真面目な方のようで、それなりの危機感に基づいてこの記事を書いておられると思うのですが、残念ながら「高知能とは何か?」「如何にしてそれを計測するのか?」という基本的な問題についての見識は、必ずしも十分であるとは言えないように思われます。


色々な方が色々な思い入れでネット上に色々なご意見を開陳されるのは自由でありますが、それが誰かに「実害」を与えるようであると、これは厳密に言えば犯罪行為になります。


具体的に申し上げると、当該ブログ記事の中で、当機構に関して、正当な事由なく「胡散臭い」などの表現を使った批判が開陳されている事を、我々は看過出来ません。中にはこれによって当機構の行なっているテストを受検することを逡巡される方もおられるかもしれず、そうなると、そういう方々には「機会の逸失」という損害が生じますし、当機構にも経済的な損失が生じるからです。


つきましては、この場をお借りし、匿名ゆえに我々が直接コンタクトできない「ケイ父」と名乗られる方に対し、下記のいずれかのアクションを取っていただけるようにお願い申しあげます。


1)「当機構が名指しされていると見なされるブログ記事」をネット上から削除して頂く。


2)本名を明らかにして頂き、当機構と虚心坦懐に意見を交換して頂く。

この方の批判を大きく分けると、第一には「我々のアプローチがスピアマンのg因子と全く関係がないこと」に焦点が当てられており、第二には「公に認められるべきIQを計測するにはサンプル数が小さすぎる」ということが論じられていると思います。この機会に、何故我々がこの二つの批判を「受け入れがたい」と判断したかにつき、以下の通りご説明させて頂きます。


第一の問題


この問題については、我々の側にも早い時点で重大なミスがあったことをまず認め、これについては深く陳謝せねばなりません。


「ケイ父」様もご指摘しておられる様に、当機構のホームページに「CAMSでは、測定対象とするg-factor(一般知能)を『時間的な圧力の少ない状況で高い推論能力を発揮する力』としています」という「正しくない記述」が、早い時点で何故か掲載されてしまっていたことが内部で発見されました。我々が測定したいのは、「広く評価されやすい一般知能(g-factor)」ではなく、むしろ「評価されずに埋もれてしまいやすい特殊知能」ですので、上記にアンダーラインを付したところが妥当な表現とは言えないのは明らかです。


(従って、この誤った記述を発見して当惑した我々は、急いでこれを削除したのですが、これが削除される前にもし一部の方々に混乱をもたらしていたとすれば、我々としては謹んでお詫びするしかありません。)


「知能は、すべての知的活動に共通して働く一般因子(g-factor)と、個々の活動でのみ働く特殊因子とから成り立っている」とするスピアマン博士の「二因子論」は、この分野の研究では古典に属するものです。それは一つの重要な真実であって、多くのケースにおいて参照されるべきものではありますが、そこで終わってしまっていてはならない「一つの観点からの一つの理論」に過ぎません。


現実にスピアマン博士の「二因子論」の後には、知能を「知覚、言語、記憶、空間、数、推理、語の流暢さ」の七つの要素から構成されるとした「サーストンの多因子論」をはじめとして、「ギルフォードの知能の立体モデル」「キャッテルの流動性知能と結晶性知能の二元論」「スタンバーグによる知能の鼎立理論」「ガードナーによる多重知能理論」等々の種々の学説が出てきており、最近は、精密なMRIによる人間の脳の構造解析から、人によって大きく異なる多様な知能の働きを分析する試みも出てきています。


10月24日付の ケイ父様の批判に対する回答 においても縷々述べさせて頂きました通り、当機構の使命はあくまで「日本を少しでも良い国、強い国にするための実践的な活動」であって、学術的な議論に深入りするのは本意ではなく、従って、今回もここで「知能とは何か?」について突っ込んだ議論をするつもりはありませんが、強いて言うなら、我々が発掘に努めたい「知能」は、どちらかといえば「キャッテルの流動性知能」の範疇に近いと思います。


「CAMSのテスト問題がCattelの行列推理に近く、テスト結果がCattell-CFIT Scale 3 相当の尺度で提供されているのもそれ故である」とご理解願えると、ケイ父様の様々な誤解も解消されるのではないかと思います。


(なお、我々のテストに図形が使われているのは、将来機構の活動を他のアジア諸国にも拡大して、より幅広く人材の発掘を試みたいが故であり、他意はありません。)


第二の問題


ケイ父様による「サンプル数が少なすぎるので、このような方法で測定されたIQは信頼に値しない」というご批判については、「全くのゼロから標準化を試みる」という非現実的な状況を前提としているので、議論には値しないと考えております。


CAMSの尺度構成については、当機構の理事も務めて頂いている前川真一東京工大名誉教授に、ここで詳細に説明して頂いていますし、この事が語られていたケイ父様の同じタイトルのブログの「2/3」はその後あまり参照されていない様なので、この妥当性については既にご理解は得られたのではないかと考えています。


従って、この問題についてはここで更に詳細に説明することは割愛させて頂きますが、強いて付け加える事があるとするなら「Cattle-CIFT scale3 のスコア保持者との『対応付け』をする場合は、60を超える標本数があればまずは妥当と認められる」という我々の判断です。これは多くの学識経験者が認めるところであるとも思うので、今回の我々のCAMSによるIQ測定は「更に精度を上げる努力をせねばならないのは当然としても、まずは十分な信頼性を持ったものである」とご理解して頂いて良いかと思います。

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